パンのかけら

聖書のことばと短いおはなし

2023年4月2日 ユダを愛した主

エスは、これらのことを話されたとき、心が騒いだ。ヨハネ13・21

 

エスは十二人弟子のひとり、イスカリオテのユダが裏切ることを知っていました。ユダは銀貨と引き換えにイスラエルの宗教指導者にイエスを売り渡したのです。ユダは十字架の物語を成立させる重要人物であり、神はユダという人間を用いて十字架を成し遂げたのだ、と考える人がいるのも不思議ではありません。

けれども、神は人間を自分の計画を実現するためにコマのように使う方ではありません。イエスは、ユダに何度も裏切るのをやめるように促し、回心するチャンスを与えました。最後の晩餐の席での「あなたがたのうちの一人がわたしを裏切る」「わたしがパンを浸して渡す者がわたしを裏切る」といったことばは、ユダに反省の機会を与えるものでした。

ユダが回心し、裏切るのをやめたならイエスは別の方法で十字架にかけられたことでしょう。神は人間の人生をコントロールするのではなく、人間の自由な意思に任せ、神のもとに立ち返ることを願うのです。ユダの裏切りについて語ったイエスは、心が騒ぎました。ユダに回心してほしいという切実な願いのために…