パンのかけら

聖書のことばと短いおはなし

2023年4月9日 トマスを愛した主

見ないで信じる人たちは幸いです。ヨハネ20・29

 

エスは十二人弟子のひとりであるトマスは、復活したイエスが他の弟子たちの前に現れたとき、たまたま席を外していていませんでした。それで、興奮気味に「わたしたちは主(=イエス)を見た」と語る他の弟子たちにたいして「わたしは、その手に釘の跡を見て、釘の跡に指を入れ、その脇腹に手を入れてみなければ決して信じない」と答えます。

このエピソードのゆえにトマスには「疑い深い人物」というレッテルが貼られています。けれどもこのトマスの発言は、他の弟子たちに乗り遅れ、イエスに会えなかった悔しさの表れだったのではないかと想像します。その証拠に、次の日曜日に現れたイエスに対して、トマスは指や脇を触って本当にその人がイエスか確認するようなことはせず「私の主、私の神!」と喜びを爆発させたのです。

見ないで信じる人たち(複数形)とはトマス個人のことではなくて、後にこの物語を読んでいるわたしたちに向けて語られたことばです。当時の弟子たちが、直接顔を合わせて信じたイエスの復活を、わたしたちは聖書のことばを通して、また信者の生き方を通して信じることができるのです。