パンのかけら

聖書のことばと短いおはなし

2023年10月1日(日) 神のことばは葬られず

ヨハネが彼に、「あなたが彼女を自分のものにすることは律法にかなっていない」と言い続けたからである。マタイ14・4

ここに出てくるヨハネとは、バプテスマのヨハネイエス・キリストの少し前に現れて、人々に悔い改めを説いた宗教家です。対する「彼」は領主であり、権力者であったヘロデ・アンティパス。ヨハネはヘロデが兄弟から略奪婚をしたことが律法(聖書の教え)にかなっていないと言い続け、その結果投獄されます。その後、ヘロデはヨハネの首をはねて殺してしまいます。ヨハネイエス・キリストが来る準備をするという使命を果たして死ぬのです。

このできごとから2000年以上たった今、わたくしたちが読むことができる物語は、バプテスマのヨハネの物語です。ヘロデ・アンティパスの物語ではありません。権力者が人を殺しても、残るのは神の物語であり、神のことばである聖書です。印刷技術のなかった時代に書かれた聖書は、人の手によって書き写されてきました。他の古代文書、日本の古典文学も同様です。けれども、聖書の写本は他の文書とは比較にならないほどの量と質が保存されています。「神のことばは葬られず」とは、考古学の面から見ても信頼できる事実なのです。