パンのかけら

聖書のことばと短いおはなし

2024年2月4日(日) 異邦人にも注がれる恵み

人々はみな、食べて満腹した。

そして余ったパン切れを集めると、七つのかごがいっぱいになった。マタイ15・37

イエス・キリストが五つのパンと二匹の魚を五千人の人に分けたという物語があります。しかしマタイの福音書にはもう一つ、七つのパンと小魚を四千人に分けたという物語も記録されています。実は、似たような奇跡物語が二つも収められている理由は奇跡を行った相手が違うからなのです。

五千人にパンを分けた相手はユダヤ人の群衆でした。四千人にパンを分けた相手は異邦人(ユダヤ人ではない人々)でした。当時のユダヤ人たちのほとんどは、神の恵みを受けるのは自分たちだけだと考えていました。イスラエルの神を信じていない異邦人は、神の恵みを受けるに値しないと受け止めていたのです。

しかし、イエス・キリストユダヤ人にも異邦人にも等しく神の恵みを注ぎました。当時の人々にも、また現代の人々にも、選民意識や民族差別が根強くあります。宗教の違いを差別の理由の一つと考える人もいます。しかし、イエス・キリストこそが、あらゆる民族の壁を撤廃し、一切の差別なく神の恵みを注いでくださった方なのです。